第1章

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「さなさんだけ、晒すんだー、へー。出る媒体、見るのは女性だけじゃないのに、へー」  ちっと舌打ち。嫌なとこついてきやがるな、上田!(もう、サンは無し)  渋々、商業ネームと職業と顔は、正面ナシで、本当に渋々、了承。    「一週間前は、夜の、禁止」   何、言ってんの? 「やだ」 「だったら、その間、さなさん、ソフトに拉致る」  意味わかんないんだけど。 「痕つけないでくださいって、あんなに言ってんのに、聞かないからですよ」 「見えないとこにしてる」  上田の肩がクッと上がって、拳を握りしめた。 「嘘つけ! 私でも、気づくとこにあったわっ。エステとドレスの仮縫いの撮影、困ったんだから!」 「ちょっと、滑ったんだ、いいじゃん。ファンデーションで、どうにかなったんだし」  今までは、肘くらいで止めてた拳が、肩まで上がった。 「きゃー! 上田ちゃんっ、胎教に悪いっ」  上田(仕事は旧姓のままでいるらしい)はめでたくご懐妊、もうすぐ、産休に入る、これがその前の最後の仕事。 「もうさー、やめようよ。面倒」 「はぁ? 今さら? 無理ですよ」 「金で解決できるなら、やめたい」 「どうしてこう、ガッカリなっ」
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