(28)アイドルの卵たち

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「じゃあな・・・」 リンは先に行ってしまったヤッキーとシンを追い駆けて階段を下りた。 「お前…リンとはやけに親しいんだな・・・」 「あ、うん」 小学校時代のリンはサッカー少年で休み時間になるとグランドにシンと出て、ボールばかり追い駆けていた。 そんなリンを教室の窓からクラスの女の子達と眺める毎日。 リンとシンは同じ顔だけど、性格は全くの逆で、リンは社交的で明るかった。 シンは大人しく無口で近寄りがたかった。 リンがアイドルを目指すのは分かるけど、無愛想なシンにアイドルが務めるか心配だ。 リンがヤッキーと同じ事務所に所属し、アイドルになるのか・・・ 「私、リンに告白されたコトあるんだ」 興味のない素振りを見せる捺さんを嫉妬させるつもりで話した。 「ふうん」 捺さんは上着のポケットからジッポと煙草を取り出した。 手摺に背中を凭れかけて、ジッポを擦って煙草を吸い始める。 「訊いてます?捺さん」
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