(28)アイドルの卵たち

3/11
前へ
/107ページ
次へ
「パスポートも持ったぞ。俊也」 「では、行きましょうか?」 「ああ~じゃ兄貴に藤ヶ谷…ライバルは消えるよ」 「ライバル?何のライバルだ?烈」 「兄貴に隠していたけど…俺・・・藤ヶ谷に告白したんだ」 私は捺さんに話すつもりはなく、自分の胸の中に仕舞っておこうと考えてたのに、フラれた本人がカミングアウトした。 「はぁ?お前…いつの間に?」 捺さんは目を円くして驚く。 「大体、留奈は俺の妻で、お前の義理の姉貴だ。マジでお前は俺のオンナを奪うのがスキだな」 「…そうだな」 烈君は悪びれる素振りを見せない。捺さんを挑発していた。 桐生兄弟も栗原さんとヤッキーのような仲の良い兄弟になって欲しいと思うけど、それは暫く無理かも。 「でも、結果は見事にフラれた・・・」 「留奈には俺が居る。当然の結果だ・・・」 「俺は今でも藤ヶ谷を忘れてない。 俺は忘れる為にアメリカに留学する。留学から戻って来た時が本当の勝負だ。兄貴」 「何の勝負だ?」 「俺も実力主義の桐生家の人間。このまま負けるのは嫌だ」 「お前が留学から戻るまでに俺はもっと大きくなる。お前の手の届かない位にな」 「烈様、捺様、奥様そろそろ空港に向かいましょう」
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1074人が本棚に入れています
本棚に追加