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つまり、この子は────
「…………えっ!?」
状況が掴めた瞬間、僕は素早く立ち上がって、女の子から離れた。
離れたけど、女の子の視線は、まだ僕を追いかけてくる。多分、間違いなく、僕のことを。
「どうしたの? 急に……」
「君、もしかして……僕が見えるの?」
「えっ! も、もしかしてっ、オバケなのっ!?」
僕がつい思ったことを喋ると、女の子の方も、目を見開いて数歩下がった。顔を青くして、身を守るように両手を胸の前で重ねて。
「ちゃんと、足、あるのにっ……!」
「あ、いや……オバケじゃないんだけど……」
「ほ、ほんと……? でも、よく見たらっ……顔も、手も、首も……雪みたいに、ま、真っ白だよ……?」
「真っ白かもしれないけど……透明じゃないよ」
僕は目を逸らさないで言い返した。震え始めた瞳の奥に、涙の気配があったから。
やめて。そんな風に、怯えた瞳で僕を見ないで。その一心で、できるだけ表情を和らげる。
「ほら。透けてなんかない」
僕は女の子の方に手のひらを向けた。
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