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「で……大丈夫だった、の?」
「とりあえず、ずぶ濡れは免れた」
「……良かったじゃない。ほら、傘あって助かったでしょ」
「まぁ……」
「あ、傘ならその辺に置いといてもらえればいいから。サボりじゃないなら早く教室戻りなさい」
顔を隠しつつ適当な場所を指差して傘を置くように促す。
誰かが来て傘を貸したことがバレるとマズイ。さっさと用を済ませて出ていってほしい。
「……わかった? ほら、もう行きなさい」
しっし、と追い払う仕草をしながら背を向け、バインダーを外して仕事を開始した。
……だけど。私の言うことなどすんなり聞いてくれる訳はなく。
「お礼くらいさせてよ、センセ」
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