第二章:墓参り

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04.  ハクはミティシェーリの魂を感じ取ることは出来ないはずだ。  しかし、そう考えていたクークラの目の前で、ハクはまるでその魂が集まってくるのが分かっているかのように、宙に向かって話しだした。  お母さん。  今まで心配をかけてごめんなさい。  でも。  もう大丈夫です。  今の私は、一人ではなく、自分の子であるクークラと、助けてくれる友人に恵まれました。  ここには居ないけど、お母さんをずっと守ってくれたゲーエルーさんも元気すぎるほど元気です。  お母さんに教えてもらった氷結晶創りも。  私なりに技術を高めて、ここまで昇華することが出来ました。  まだまだ至らないところも多いけど。  でも昔みたいに。  泣いているだけ、我慢しているだけの。  そんな私ではなくなりました。  見守っていてくれてありがとう。  それを知った時、本当に嬉しかった。  ありがとう。  それを伝えたかった。  お母さん。  ありがとう。  本当に。ありがとう。  宙に向かって話すハクの姿に、クークラはなぜか嬉しさが込み上げた。  その想いを共有したくなり、振り返ってキキさんを見た。  キキさんは、ハンカチで眼を抑えていた。  クークラはびっくりした。  見てはいけないような気がし、慌ててハクに目線を戻す。  キキさんが「ハクは強くなった……」と独りごちる声が聞こえた。  ハクがひとしきり感謝の言葉を述べ終わり、二人の方に振り向いた。  月の明かりに照らされて微笑むハクは美しく、彼女の子であることを、クークラは誇らしく思った。  恐る恐るキキさんの方を見てみると、その顔には涙の跡など微塵も残っておらず、むしろ普段よりもキリっとした表情をしていた。  クークラは、なぜだか少しホッとした。  キキさんは、それでこそキキさんだ。  ハクは箱に氷結晶を戻した。  蓋を閉めると、クークラがハクに話しかけた。 「この氷結晶も提出しちゃうの?」 「これを創っていたことはスヴェシさんも知っているし、氷結晶は完全に管理されている以上、当然、これも提出します。まぁ墓参りのために創っていたとは思ってもいないでしょうけど」 「せっかくの記念の品なのに……」  国教会もスヴェシも嫌いなクークラは、不満を隠さなかった。
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