3人が本棚に入れています
本棚に追加
02.
「キキさん……応接室の掃除……終わりました……」
中央会議室の整理をしていたキキさんのもとに、クークラが割り当てられていた仕事を終えたと報告に来た。
今日に限って肩に小さな人形を乗せており、言葉に抑揚がなく、テンションが低い。
「お疲れ様です。今日はもう上がってもいいですよ。……本当に終わったのであれば」
「はい……お疲れ様です……」
「ところでクークラさん、その肩の人形は? 動いているようですが」
「……術の……。練習です……」
「なるほど。……少しお聞きしますが……そうですね、ハク様はいまどこに居られます?」
「……ハ……ピ……d……」
キキさんは目を細めて、しかし少し呆れたように肩をすくめた。
「本当に腕をお上げになられましたね」
キキさんの目線は、少女人形の肩に乗った小さな人形に向けられていた。
次の瞬間、少女人形が力を失い、その場にへたり込む。しかし膝をつく直前に眼に輝きが生まれ、体勢を持ち直した。
その肩から、座っていた小さな人形が落ちた。
それも地面にぶつかる前に手で受け止め、それまでアニメートで動いていた少女人形に宿り直したクークラが言った。
「やっぱりバレたか……。どの時点で気づいたの……気付きました?」
「最初から。喋り方が不自然すぎます」
「ハクの場所を聞いたのは……」
「命令されたこと以外の行動や受け答えが出来るのかどうか、試しただけです」
「喋り方は気になってたんだけど……やっぱりそこらあたりかぁ」
キキさんは内心で、私はアニメートを施した物品を喋らせることなんて出来ませんけどね……と、呟いた。
「クークラさん。イタズラもよろしいですが、掃除は本当に終わったのですか?」
最初のコメントを投稿しよう!