第一章:愛情に包まれて

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02. 「キキさん……応接室の掃除……終わりました……」  中央会議室の整理をしていたキキさんのもとに、クークラが割り当てられていた仕事を終えたと報告に来た。  今日に限って肩に小さな人形を乗せており、言葉に抑揚がなく、テンションが低い。 「お疲れ様です。今日はもう上がってもいいですよ。……本当に終わったのであれば」 「はい……お疲れ様です……」 「ところでクークラさん、その肩の人形は? 動いているようですが」 「……術の……。練習です……」 「なるほど。……少しお聞きしますが……そうですね、ハク様はいまどこに居られます?」 「……ハ……ピ……d……」  キキさんは目を細めて、しかし少し呆れたように肩をすくめた。 「本当に腕をお上げになられましたね」  キキさんの目線は、少女人形の肩に乗った小さな人形に向けられていた。  次の瞬間、少女人形が力を失い、その場にへたり込む。しかし膝をつく直前に眼に輝きが生まれ、体勢を持ち直した。  その肩から、座っていた小さな人形が落ちた。  それも地面にぶつかる前に手で受け止め、それまでアニメートで動いていた少女人形に宿り直したクークラが言った。 「やっぱりバレたか……。どの時点で気づいたの……気付きました?」 「最初から。喋り方が不自然すぎます」 「ハクの場所を聞いたのは……」 「命令されたこと以外の行動や受け答えが出来るのかどうか、試しただけです」 「喋り方は気になってたんだけど……やっぱりそこらあたりかぁ」  キキさんは内心で、私はアニメートを施した物品を喋らせることなんて出来ませんけどね……と、呟いた。 「クークラさん。イタズラもよろしいですが、掃除は本当に終わったのですか?」
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