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キキさんは静かに首を横に振った。
「それは恐らく、クークラさんの体質とも関連があるのではないかと思います。わたくしはそのような状態になったことはありませんし、書で見たこともない……」
「キキさんでも……わからない?」
「申し訳ありませんが。クークラさん以外には、誰もわからない領域の話かと」
「自分としては便利なのでいいんですけど……」
「そこはご自分の感覚で判断していただくしかありません。ただ、これだけは申し上げます。危険だと思ったら、即座に引き返してほしい。便利であっても、いえ、便利であるがゆえに、いつの間にか戻ることの出来ない危険に嵌り込んでしまっている、という事も、魔術の世界では少なからずございますので」
クークラは、わかりました、と言った。
もう少し、自分の制御できる範囲で色々と試してみることにします。
「……あ。あと、あの……」
「?」
「砦跡を取り巻く大気に満ちる魂の中に、異質なのが混じっていますよね」
「ええ。私が初めてここに来た時……思えばそれから、もう随分と経ちましたが、その時から感じております」
「あれって、何だと思います?」
「そう聞かれるということは、クークラさんも何らかの予想をお持ちですね?」
「はい」
「わたくしも、確認はできませんが、だいたいあの方だろうという考えはあります」
多分あれは……と、二人の言葉が重なる。
「魔王ミティシェーリ」「ハクのお母さん」
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