第1章

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昔、両親に連れられて田舎の祖父母の所に行った時に出会った少年がいた。 僕は都会育ちで野原を走り回るなんてしたことがなかった。木登りも、小川で魚を追いかけることも、カブトムシやクワガタを採ることも全て初めてで楽しくてしかたなかった。 毎日出掛ける僕を両親も祖父母も笑顔で送り出してくれた。お弁当やおやつを持たせて。 いつも一緒に遊ぶ少年は僕と同じ年で七歳。少年の名前はマサト。笑うと左頬にエクボが出来て可愛い少年だった。僕の名前がユウト。 マサトとユウト、似ているねって、すごく仲良しになった。 明日、東京に帰る…帰りたくなくて、またマサトと一緒に遊びたくて駄々をこねたけど、大人の都合に子供は無力だ。諦めて素直に帰る事にした。 今日で最後。 「マサト、僕、明日、帰るんだ…。」 「うん。知ってる。…寂しいな。また来いよユウト。約束な。」 「うん。また来る。約束。マサト。」
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