第一章 入学式

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 空には雲一つなく快晴であった。体育館傍の桜の木は桜の花で満開になっていた。  今日は,高校の入学式。2016年4月に私は高校生になった。初めての高校の制服に身を包み,新鮮な気持ちで体育館傍にある受付を済ませ,ピロティに行った。掲示されている自分の名前とクラスが書かれた名簿を見に行った。ところが,何度見ても自分の名前が見つからない。おかしいなと思っていると後ろから少し禿げた30代ぐらいの男の先生に「ここは中学ピロティですよ。高校ピロティはあちらですよ。」と言われ,よく見ると周りには中学一年生と思われる小さな子ばかりがいた。ここは中高一貫校なのだと改めて感じた。  赤面しながら,ママと一緒に高校ピロティに向かった。高校ピロティには同じ青リボンをつけた女の子がたくさんいた。  ここの学校では中学生は赤リボン・ネクタイ,青のシャツ,高校生は青リボン・ネクタイ,白のシャツが制服だ。ズボンやスカート,ベストなどのものは中高共通である。  掲示されている自分の名前とクラスが書かれてある名簿を探した。あった。しかし,その前には背が低く髪の毛がロングとショートの女の子二人がいた。その二人が見終わったあとに見ようと思って,その子らの後ろで見終わるのを待っていた。こんな時にいつも目が良かったらなと思ってしまう。前の二人の女の子は見終わったようで違うクラスなのか,残念がったような背中をしていた。その二人が移動するときにちらりと顔を見た。ロングの子が可愛かった。女である自分も一目ぼれしそうだった。話しかけたかったが,怖くて話しかけられなかった。  そこにある名簿を見た。またしても自分の名前がない。不思議に思って,よく見ると中入生と書かれていた。さっきの二人は中入生だろうと思いながら,高入生の私の名前はどこにあるのと周りを見渡したが名簿のようなもの見つからない。あたふたしていると,ママが「さな,何しているの。あんた2組だったの知らないの?」と言ってきた。いつの間に見ていたのかと思いながら,「どこに名簿があるの?」とママに聞いて,名簿を見に行った。  
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