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「…お前の色使いすっげぇきれいだな」 「えっ」 先輩は出ていくときに私の書いた絵をちらりと覗いてそう言うと、水たまりも気にせずに踏みながら行ってしまった。 綺麗な色…そういった先輩の声がなぜか胸の奥で響いた。 深い赤の人…揺らめく炎の色。 あまり近寄りたくない色。 声が響く胸の奥が苦しくて、ぎゅうっと抑えた。 それから、何度か雨の日に先輩はやってきた。 「雨やどりさせて」 そういってガレージの奥で眠る。 私は雨が止むと彼を起こす。 梅雨の季節。 雨は毎日のように降り続く。 先輩、傘…持ってないの? って聞いてしまいそうになるくらいここ数日、毎日のようにやってくる。 やってきては同じところで眠って。 でも、今日は違った。 「おい…美雨。ちょっとこっち来いよ」 「…はい」 自分の隣に座れと言っているのか、少し身体をずらしてシートを指さしていた。
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