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先輩の隣に恐る恐る座る。
先輩はガサガサと手にしていたトートバッグを漁ってから
「これお前にやる」
と小さな包みを手渡された。
「……」
「開けてみ」
「は、はい」
言われるがまま、その包みをそおっと開けると、金平糖。
「もらいもんで悪いけど、これ見たらこないだお前が書いてた紫陽花の色みたいだなって。
だから、やるよ。」
「キレイ……ありがとうございます」
紫陽花の紫色の金平糖の中に、所々緑色の金平糖が入っていて、ほんとうに紫陽花の花のよう。
「食べても……いいですか?」
「お前にやったんだから、食べたらいいだろ」
紫陽花を眺めながら、紫陽花色の金平糖を食べるなんて……
「なんだか贅沢」
「なーんも贅沢なもんなんかねぇだろ」
「先輩、甘いです」
「そりゃ……砂糖菓子だからな」
口の中で甘い紫陽花がゆっくりと溶けていく。
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