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「それって、その人が好きなんじゃない?」
「そ、それはっ…ないっ!だって、そういうんじゃないし」
「美雨、動揺しすぎ。」
学食で高校から一緒の友人の美琴が、カレーを口に運んだスプーンをくるくる回した。
「だって…先輩みたいなかっこいい人に彼女がいないわけないよ」
「そんなの聞いてみなきゃわかんないじゃない?それに、一緒に行くんでしょ?美術館」
「う、うん」
「少しは美雨にもチャンスがあるってことなんじゃんないの?
いいじゃない、私なんか…チャンスどころかもうどうしようもない状態になっちゃったんだから」
「美琴」
「はい、私の話はおしまいね?ごちそうさまでした!
じゃあ、私次の講義向こうの校舎だから先に行くね」
「うん」
美琴はお皿に残ったカレーをささっときれいに平らげて、席を立った。
チャンスなんて…私にあるの?
ほんの一瞬の電話のチクチクと、雨の日のキスのドキドキが胸の中で混ざり合って、息苦しく感じる。
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