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あれから電話もできず、向こうからも来ないまま1週間…ガレージにも足が向かなくて気付けば10日。
先輩を見かけた。
隣には、綺麗な女性が歩いていた。
仲睦まじく、楽しそうに。
チクチクした胸がひりひり痛い。
普段あまり立ち寄らない小さな雑貨屋で目についたのは、ピアスの穴を開ける道具。
それをひとつ手にしてレジに向かっていた。
家に帰って耳がしびれるほど冷たく冷やしてから、パチンっと何も考えずに耳に穴を開けた。
鏡でそこを見たら、光ったピアス。
それは…まるであの人の名前みたいな色をしている。
冷たさのしびれが消えゆくと同時にやってきたじんじんとする痛み。
私はその痛みと一緒にしばらく泣いた。
先輩の事…好きとかじゃない。
そう必死に自分に言い聞かせて。
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