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美術館は常設展示も、特別展示もどらもとてもにぎわっていた。
先輩が見たいのは特別展示のほうで。
「…人多いな。お前ちっこいからはぐれるなよ?」
「頑張ってついていきます」
って言ったものの、隣に立ってみていたはずなのに気付いたらほかのお客さんに割って入られて先輩の背中が離れていく。
「せ、せんぱ…」
美術館で大きな声は出せない。
順路はひとつだし、展示物を見ながら出口に向かおう。
そう諦めていた時、ぐいっと腕を掴まれた。
「やっぱはぐれてるし」
「先輩…」
「悪かったな。夢中になり過ぎて美雨と離れちまって」
そう言いながら先輩は私の指に自分の指を絡ませた。
「離れるなよ」
「はい」
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