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2年前。 アルバイト先が突然閉店してしまって、偶然見つけた【アルバイト急募】の張り紙に飛びついた私は、家の近くの小さな居酒屋で苦手な接客のアルバイトを始めた。 「なに、店長この子いつからいるの」 「お前とシフトほとんどかぶってないからなぁ。2ヶ月ほど前から来てるんだよ」 「ふぅん。お前、名前なんての」 「こらっ!琥珀(こはく)!そんな怖い顔して美雨(みう)ちゃんに話しかけんな。  美雨ちゃん、こいつもここでバイトしてる山本琥珀。美雨ちゃんと同じ大学に通ってんだよ」 琥珀と店長に呼ばれていた人は、「何年?」って私に聞いてきた。 「藤原美雨…です。2年です」 「へぇ、ミウ…ってどんな字?」 「【美しい】に【雨】で…」 「なんか、雨女みたいな名前だな」 「こら!琥珀!もう追い返すぞ!」 雨女…そう言えば子供の頃はそうやってからかわれた。 遠足や運動会が雨になる事も多かった。
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