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「お兄ちゃんは、私がお祖父さん達の悪態を吐く度に、そんな風に悪し様に言うのは止めろと言っていたでしょう? 平手打ちで済ませてあげたのは良くやったって、誉めてくれないの?」
「あ、あのな、清香……」
冷や汗を流しつつ何とか事態を穏便に済ませようと試みた二人だったが、ここで室内に清香の怒声が響き渡った。
「なんて事……、本気で言うと思ってんのか――――っ!?」
「うわっ!?」
「ちょっと待て!」
叫びながら清香は聡にティーカップを投げつけ、清人にソーサーを投げつけてから、両手でローテーブルを盛大に叩きつつ絶叫した。
「ふざけんじゃないわよ!? 皆で私一人除け者にして、陰でコソコソコソコソ!」
「清香! これには色々と訳が!」
「清香さん! 決して好き好んで隠していた訳では!」
「さあ、お兄ちゃん、今すぐさっき廊下で言ってた事、洗いざらい話して貰うからね! もしこの期に及んで嘘を吐こうものなら、分かった時点で、綺麗さっぱり兄妹の縁を切るわよ? 勿論、分かってるわよねっ!?」
「清香……」
憔悴した顔で清人が呻いたが、再度拳でテーブルを叩いた清香は、情け容赦なく押し殺した声で凄んだ。
「さっさと吐け」
「……はい」
(清香さん、人格が崩壊してる。兄さんまで、まるで別人……)
常には見られない憤怒の形相の清香と項垂れた清人を見て、色々諦めた聡は片手で顔を覆った。
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