ただ、赤く濁る

12/134
前へ
/142ページ
次へ
不器用な手つきで、 まとめられた資料をトランプでも切るかの様に、 流し見て行く 野副を、 後輩捜査官・金森巡が、 食い気味に詰め寄る。 「俺はわがままだからな。 胸糞悪くなると、 その途端何もやる気が起きなくなるんだよ」 「それ、 自分で言いますかね、 普通・・・」 今の、 どこからどう見ても怠けている態度も、 少なからず胸糞が悪いのだろう。 「あんまり揉め事ばかり起こさないで下さいよ。 ただでさえウチは、 浮遊霊係とか 他の部署から呼ばれてるんですから」 野副が無造作に散らかした資料を、 隣で苦言を呈しながらも、 一枚一枚丁寧に揃え、
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加