ただ、赤く濁る

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アクセントと一言で片付けるには、 あまりにも下品に飛び散った鮮血の我が強過ぎる。 この執拗に茹だる環境で、 血生臭さが生々しさを帯びる中、 手際良く処理を 済ませた救急隊員の一人を呼び止める。 「被害者は?」 「見れば分かるでしょ。 即死ですよ」 惨憺たる状況で聞かれた女性刑事の戯言に、 露骨に不快感を露わにしたのは、 一応暑さのせいにしておいた。
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