ただ、赤く濁る

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 四方八方に赫の彩りは血生臭く、 そこで思考回路をショートした人間。 震えながら項垂れ、 司法解剖をしてもおそらく、 すでに頭の中は空っぽの人間。 加害者と思しき男だ。 「うっ・・・」 一歩離れた場所で立ち竦み、 節操無くゲロを吐く責任者の男性。 今、 そこにある現実は、 普通の人間が冷静になればなる程、 当たり前に 逆流を引き起こす。 「警察です。 一緒に来てもらえますか。 お話を聞かせて頂きたいので」 言葉を理解する機能は、 とっくに故障し、 加害者男性に動ける気配など一切ない。 「ただでさえ小汚ねぇ工場だ、 これじゃあもうまともに操業も出来ねぇな」
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