8人が本棚に入れています
本棚に追加
背後から近付く気だるそうな悪態が、
説得の姿勢に平然と水を差す。
「野副さん。
不謹慎ですよ」
「そもそも、
何で俺たちが来なきゃならねぇんだよ。
別件で、
たまたま近くを
回ってただけで、
こんなヤマは所轄に任せれば良いだろうが」
ただだらしなく、
ワイシャツのボタンを上二つまで開け、
度が過ぎた
不機嫌を垂れ流す、
根っから悪相の男。
薄い切れ込みを入れたキツネ目で、
嘔吐いたまま背を屈める責任者を横目に見る。
「人の噂って言うのはさぁ、
目に見えず性質の悪いウイルスみたいなもんだ。
どんなに大元の原因菌を取り払っても、
一度感染した身体は、
二度と元には
戻らない」
最初のコメントを投稿しよう!