ただ、赤く濁る

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まるで他人事。 嫌味な冷笑を浮かべ、 背中を強めに擦ってやると、 そのまま 放心状態の加害者男性の襟首を、 人並み外れた剛腕で宙に吊り上げる。 「行くぞ、 ハタケ!」 腰の抜けた人間を容赦なく引き摺り、 立ち上がろうとする事さえ許さない。 いつもの事だと呆れ気味に、 女性刑事は一礼して、 その場を共に立ち去る。  出入り口付近には、 次から次へと異形の者たちが騒々しく立ち回り、 己の領地へと塗り替え作業をしていた。 その中でも、 見るからに傲慢な姿勢で陣取った、 一目見て只ならぬ集団。 何故彼らが? そう疑問を持つだけで、 もはや何事が起こらなくとも、 一触即発は避けられない。
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