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「やっぱり、カエルさんは頼りになりますね」 「ちょっ、サトウちゃん。その言い方は無いんとちゃう?わしだってがんばってたやん!」 「いえ、邪魔しかしてませんでしたよ」 仕事の最中になにかイヤなことをされたらしいサトウさんは、トノサマを蔑んだ目で見ている。 必死に言いわけする彼に「トノサマへのご褒美、これで十分ですよね」と、どこからか出したチラシの裏に書いた紙幣をポイッと床に捨てるとカレーを食べはじめた。 サトウさんのさっきまでの丁寧な対応と微笑みはどこにもなく、まるで別人のようだった。 「偽造の金なんて、あんまりやんか……。しかも雑!」 トノサマはわたしに助けを求めてきたが、聞こえてない振りをしてカエルのおかわりをよそいにキッチンに戻る。 カレールーがすこし多めというカエル好みに盛り付けた皿を持ってソファーに行くと、床でトノサマが体育座りをしながらただの紙くずに口づけをしていた。 「全然、味せーへん。これ……」 何となくあわれだが、ここで同情を見せようもんなら、この悪魔はすぐにいつもの調子を取り戻してわたしに被害が及ぶのは目に見えている。 余計な面倒はごめんだとばかりに、わたしは彼を視界から外した。 「ふう、ごちそうさまでした。とても美味しかったですよ」 「ほんとう?ありがとう」 お皿まで舐めてきれいに完食したカエルは口もとをきれいに拭うと、満足そうにソファーに身をうずめた。 こうやって静かにしていると可愛い着ぐるみのカエルなのに、とすこし残念に思いながらお皿を下げて食後のお茶を置いてあげた。
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