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そんななかで、ひとりだけ違う者が居た。
ヒトの姿をしていながらも、ヒトとはどこか違う空気をまとう男。
彼は無表情に「ひとりがイヤなら、俺について来い」とそれだけ言った。
彼の言葉は無意識的にわたしの心へと響き、考える間もなく頷いていた。
彼はわたしに生きてくうえで重要な衣食住を与えてくれた。
衣服を与え、寝るところ、食べものも与えてくれて、紙幣や貨幣を渡して、これで買いものにでも行ってこいと背中を押してくれた。
彼の気遣い心遣いすべてに泣きそうになった。
「これからここが、お前の居場所だ」
『ありがとう』
わたしの人生のなかで、はじめて感謝の言葉を使った日だった。
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