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「婿入り前なのに……」とか「裸を見られてしまうとは……」とか言ってたまにわたしをチラチラ見てくるので困っていると、サイトウさんは飲み終えたマグカップを勢い良く彼に投げた。 それは見事にカエルの顔面に当たって粉々に割れた。 その光景を平然と見ていたわたしは、ホウキとちりとりを取りに掃除用具箱に向かう。 「嘘泣きとはずいぶん落ちたもんだな」 「うっ……な、なんのことだね……」 「ほお。しらばっくれるのか?」 サイトウさんに睨まれたカエルはヒイッと悲鳴を上げた。 殺伐とした空気のなか、わたしはせっせと掃除を済ませた。 「ここじゃうるさいから俺の部屋に行くぞ」 『あ、はい』 魔導書を大切に抱えて退室したわたしは、サイトウさんが悪魔よりも悪魔らしい不敵な笑みでカエルを見ていたことを知らない。
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