ちぐはぐな相棒

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夕暮れ迫るあぜ道を会社帰りの女性が歩いていく。 今日も仕事が無事に終わりホッとため息をつきながら、チドリ草の咲き乱れているその姿に視線を移し足を止めると、チドリ草を見つめている。 薄青い空と色とりどりのチドリ草が美しい何とも言えない景色を作りだしていた。 女性の名前は今田里美と言う。 里美の勤めている会社は医療機器を扱う会社で、里美自身は看護師の資格を持ち病院で働いた後、今の会社でクリニカルコーディネーターとして働いていた。 医療機危機を病院へ販売する時に使い方をレクチャーするのを主な仕事としていた。 そして、医者と会社との仲介役としてのコミュニケーション能力も必要であり、医療機器をデモンストレーションする時にも臨床で培われた、看護師のスキルが役に立つのだった。 里美は、今の仕事は自分に向いていると思っていた。 臨床の看護師は命の重さを常に感じていなければならなかった。 しかし、今仕事は、機械の販売が主で、その機械を必要とするのが医者であり患者だった。
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