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帰りの車の中で、横田は「何が、いい相棒だよ。なあ、今田、お前と俺は相棒なんかじゃないよな」と言う。
里美は平然とした顔をして「そうですね。相棒ではないですね。これだけ、見解の違う相棒はいませんからね」と皮肉を込めて言う。
横田は苦笑いを浮かべながら、「医療の知識のあるやつにはかなわんな」とボソッというが、里美は答えない。
いくら、横田がそう言っても、横田の考えは違う所にあると分かっているから。
里美が話さないから、いい相棒と映っているに過ぎない、里美が口を出し、話しはじめれば、二人のちぐはぐさが、表面に出てしまうだろう。
今は横田をたてて里美は沈黙を守っている。
しかし、いつかは、二人のちぐはぐさが、表面に出てくるのは明らかだろう。
その時、会社は、どちらを撮るのだろうか。
もちろん会社に利益をもたらす人物をとるに決まっているのだが。
里美は、会社が横田をとるようなことがあれば、この会社は、きっと伸び悩むことになるだろうと思うのだった。
そして、今日も仕事の帰りにあのあぜ道に通りかかる里美は、あの美しいチドリ草を見つめている。「花っていいなあ、心癒される。いやなことがあっても、この花たちが、私の心をいやしてくれる」と呟くのだった。
終わり
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