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瑛祐に失恋した日。
私が29歳になった日。
13年越しに、年下のイトコにキスをされた日。
1日の間にいろいろな事が起きたあの日から、数日が経った。
仕事に夢中になり過ぎて彼を失ったのに、数日が経てばもう平気な顔をして仕事をしている自分がいる。
でも本当は、平気でもなんでもなかった。
隙を見せたら、今にも泣き崩れてしまいそうなくらい、私はまだ立ち直れてはいなかった。
「椿、私フレンチにストーン付けて、あと薬指だけドット柄にしてほしいんだけど」
「了解」
今日は、高校の頃からの親友の美月がネイルサロンに来てくれた。
「椿にネイルしてもらったら、ママ友に凄い褒められるんだよね。みんな見てるんだよ、意外と他人の爪って」
「確かに視界には入りやすいよね」
美月は、22歳のときに結婚して今は5歳と3歳の子供のママだ。
子育てで忙しい日々を送っているけれど、私が仕事が休みの日は美月の家に遊びに行くこともある。
たまに子供を親に預けて、私のネイルサロンに足を運んでくれる。
ママ友のいろんな話を美月から聞いてると、正直少し怖いと思ってしまう。
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