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「類、自分が何言ってるかちゃんとわかってるの?」
「わかってるに決まってんじゃん」
「私は信じられないよ。類が私を好きなんて……」
「信じられないなら」
類はギュッと私の左手を掴み、自分の口元へその手を引き寄せた。
「莉菜に信じてもらえるまで、俺は何だってするけどね」
類の唇が、私の手を一瞬で熱くする。
「は、離して……」
「莉菜が俺を弟のように思ってる事くらいわかってんだよ最初から。だから、これから覚悟しておいて」
「……何の覚悟?」
「俺を受け入れる覚悟」
心臓の鼓動が速すぎて、おかしくなりそうな気がした。
類と私の間にある、踏み込んではいけないボーダーライン。
類はそれを、軽々と越えてくる。
初めから、恋愛対象外の存在なのに。
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