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動けない。
言葉も出てこない。
なのに、視線だけは彼から離せない。
「莉菜のそんな顔見れるなら、もっと早く素直になっておけば良かった」
「……そんな顔って?」
「俺の事意識してる顔。初めて見た」
そんな嬉しそうに微笑まないで。
私は類の気持ちに応える事なんてできないんだから。
「類。気持ちは嬉しいけど……」
「あ、今返事とか聞く気ないから」
「え……」
「莉菜が言おうとしてる事なんて、手に取るようにわかるし。だけど俺が求めてるのはそういうのじゃないから」
「そういうのじゃないって……」
「類くん?豪が呼んでるよー」
突然リビングの扉が開き、愛ちゃんが少しだけ顔を出す。
私は慌てて、類に掴まれていた手を離した。
こんな所見られて、誤解されたら困る。
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