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「どんな女か全然教えてくれないんだよアイツ。つーか、本当に好きな女なんているのかな」
「……どうなんだろうね」
「どこで知り合ったのか聞いても、前からの知り合いとか言ってはぐらかすし」
心臓がドキドキしてくる。
もし私だなんて豪に知られたら……。
絶対に、知られるわけにはいかない。
「でも、その女性とはきっとうまくいかないんじゃない?」
「なんで?あ、もしかして姉ちゃん、自分もうまくいかなかったら類も失恋すればいいのにとか思ってんの?」
「あのね……そんな事思ってないし」
「姉ちゃんも誰かいい人いればいいのにな。あ、賢くんとかいいんじゃない?姉ちゃんと賢くんが結婚するなら俺賛成だけど」
賢と結婚とか、100%あり得ないし。
「賢は大事な友達なの。今更そんな関係になるわけないでしょバカ」
「意外とお似合いだと思うけどなー」
「変な事言わないで。もうシャワー入って寝るから。おやすみ」
まだ何か言いたそうな豪を放置して、浴室へ駆け込む。
シャワーを浴びながら考える事は、類の別れた彼女の事。
類に一方的に別れようと言われた今、彼女は毎日どんな想いで過ごしているんだろう。
類への想いは、どれだけ強いのだろう。
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