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類の気持ちを知ってしまった日から、彼の存在が頭から離れてくれない。
朝、起きた瞬間に。
通勤中、電車に乗っているときに。
仕事中、ふとした瞬間に。
夜帰宅して、食事を作っているときに。
眠る前の一瞬の時間に。
彼の事が、頭に浮かんでしまう。
だけど結局、あれから1週間が経ったけれど類からは何の音沙汰もなかった。
別に連絡が来るのを待っているわけではない。
でも、既に類には振り回されている気がする。
絶対好きにならないって言ったはずなのに。
「こんばんは」
そのとき、可愛い声と共にお店の扉がゆっくりと開いた。
顔を覗かせたのは、予想通りの可愛い子。
「莉菜さん、お久しぶりです」
「いらっしゃいませお待ちしていました。久し振りだね渚ちゃん」
今お店に入ってきた可愛い女の子は、青山渚ちゃん。
実はこの子は、有名なシンガーソングライターだ。
前のサロンにいたときに仕事で知り合い、それ以来、私の所にネイルをやりに来てくれている大切なお客様の1人だ。
独立してからも、私のサロンに忙しい合間をぬってわざわざ足を運んでくれている。
今となっては、お客様でもあり、大切な友人でもある。
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