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「でも莉菜さん、もともと美人だけど更に綺麗になった気がします」
綺麗になる要素なんて何もないはずだけど。
「……最近、いろいろあったんだ」
「そうなんですか?」
「うん。実は、4年つき合ってた彼氏にふられたの」
「え……」
「それで落ち込んでたはずなんだけど……」
親友にも家族にも言えないけれど、どうしてか渚ちゃんには類の事を話してみようと思った。
「……けど?」
「今はね、他の男の事で頭がいっぱいで……困ってるの」
「それって、その人の事を好きって事ですか?」
「違うの、好きじゃないんだけど。好きじゃないんだけど振り回されてるっていうか……」
私がそう言うと、渚ちゃんはニッコリ微笑んで口を開いた。
「莉菜さん。きっと莉菜さん、その人の事、もう好きになってるんですよ」
「好きじゃないの。絶対好きになる事はないの」
「でも……」
「その人ね、イトコなの。……イトコと恋愛なんて、普通おかしいでしょ?」
自分で初めてその事実を口にした途端、胸が痛くなった。
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