思考を狂わせるキス

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「ち、ちょっと……目閉じてよっ」 「わかった」 類の透き通った瞳が、またゆっくりと閉じる。 私はしっかり彼の瞳が閉じた事を確認してから、ゆっくりと彼に顔を近付けた。 そして、唇と唇が触れる。 きっと、時間にしたら僅か1秒。 たった1秒なのに、私の心臓は驚く程速くなる。 「……おやすみ」 もう、その場にはいられない程に胸が苦しくなり、『おやすみ』と一言だけ呟いて車を勢いよく出てマンションまで走った。 今どききっと、中学生だって、軽く触れるキスにこんなにドキドキなんてしない。 さっきの観覧車での深いキスとはまた違う。 違うけど、同じぐらいの威力。 マンションのオートロックを抜けて、エレベーターに乗り込み壁にもたれかかる。 「どうしたらいいの……」 今日の1日でわかった事。 私の中で類の存在が大きくなっている。 それも、急速に。
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