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「待ってよ。何普通に帰ろうとしてんの?」
「え……」
「さっき言ったじゃん。後でキスするって。まだしてもらってないんだけど」
……もう、忘れているかと思っていたのに。
「莉菜って、平気で嘘つくんだね」
「……」
「そういう人だと思ってなかった。俺、嘘つく女って1番嫌い」
「わかったよ……するから。するから、そういう事言うのやめてよ」
私はつくづく、類に弱い。
そして、バカな女だと思う。
「……目、閉じて」
「なんで?目閉じたら莉菜の顔見えないじゃん」
「見なくていいから!」
ホント、調子が狂う。
類は仕方ないといった表情で、渋々ゆっくりと目を閉じた。
至近距離で、類の顔が私の瞳に映る。
女の私よりも数倍、綺麗な顔だと思う。
「まだ?ていうか、なに人の顔ジロジロ見てんの」
至近距離で彼の顔を見つめていたら、ぱちっと類の目が開き、目が合ってしまった。
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