思考を狂わせるキス

39/40
前へ
/40ページ
次へ
「待ってよ。何普通に帰ろうとしてんの?」 「え……」 「さっき言ったじゃん。後でキスするって。まだしてもらってないんだけど」 ……もう、忘れているかと思っていたのに。 「莉菜って、平気で嘘つくんだね」 「……」 「そういう人だと思ってなかった。俺、嘘つく女って1番嫌い」 「わかったよ……するから。するから、そういう事言うのやめてよ」 私はつくづく、類に弱い。 そして、バカな女だと思う。 「……目、閉じて」 「なんで?目閉じたら莉菜の顔見えないじゃん」 「見なくていいから!」 ホント、調子が狂う。 類は仕方ないといった表情で、渋々ゆっくりと目を閉じた。 至近距離で、類の顔が私の瞳に映る。 女の私よりも数倍、綺麗な顔だと思う。 「まだ?ていうか、なに人の顔ジロジロ見てんの」 至近距離で彼の顔を見つめていたら、ぱちっと類の目が開き、目が合ってしまった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

323人が本棚に入れています
本棚に追加