323人が本棚に入れています
本棚に追加
「ち、ちょっと……目閉じてよっ」
「わかった」
類の透き通った瞳が、またゆっくりと閉じる。
私はしっかり彼の瞳が閉じた事を確認してから、ゆっくりと彼に顔を近付けた。
そして、唇と唇が触れる。
きっと、時間にしたら僅か1秒。
たった1秒なのに、私の心臓は驚く程速くなる。
「……おやすみ」
もう、その場にはいられない程に胸が苦しくなり、『おやすみ』と一言だけ呟いて車を勢いよく出てマンションまで走った。
今どききっと、中学生だって、軽く触れるキスにこんなにドキドキなんてしない。
さっきの観覧車での深いキスとはまた違う。
違うけど、同じぐらいの威力。
マンションのオートロックを抜けて、エレベーターに乗り込み壁にもたれかかる。
「どうしたらいいの……」
今日の1日でわかった事。
私の中で類の存在が大きくなっている。
それも、急速に。
最初のコメントを投稿しよう!