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「は?何その女、怖いんだけど。執着し過ぎじゃん」
私が心の中で思っていた事を、彼女はあっさりと口にした。
「でも、何か凄く好きみたいで……」
「凄く好きだからって、豪ちゃんに協力してって頼んだりする?普通。もう他の女の事が好きだって類くんも言ってるのに」
私が瑛祐に別れようって言われたときは、こんな事出来なかった。
凄くショックを受けたことは事実だけれど、向こうに気持ちがないのがわかっているのに、すがる事は出来なかった。
「しかもその女の事、許さないって言ってるんでしょ?ヤバイよ椿。もし類くんが好きな女が椿だって知られたら、何されるかわかんないよ」
「……やっぱり危ないかな」
「絶対危ないって。類くんに守ってもらった方がいいんじゃない?」
「そんな事、出来るわけないでしょ」
でも、本当に知られない方がいい気がする。
類の香りを漂わせていた私を見るあの子の目。
少し、怖かった。
「とりあえず、その女に何かされそうになったら類くんにすぐ言いなよ!椿を好きになった類くんに責任があるんだからね」
「……うん、わかった」
それから、今度遊ぶ約束をして美月との電話を切った。
キスをした事は、誰にも言わないことにした。
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