262人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、気を取り直して仕事に取りかかる。
昨日、結局あの子が何時まで家にいたのかはわからないけれど、結構遅くまで豪と話している声が微かに聞こえていた。
何を話していたんだろう。
類とヨリを戻す作戦とか……?
「……莉菜さん?大丈夫ですか?」
「あ……ごめんなさい!」
ネイルの施術中なのに、完全に手が止まっていた。
最悪だ。
仕事中に他の事を考えるなんて、あり得ない。
せっかく私のネイルを楽しみに来てくれているのに。
「……莉菜さん、何かあったんですか?」
そう言って、心配そうに私の顔を覗き込むのは。
本日午後3人目のお客様。
この間も来てくれた、シンガーソングライターの渚ちゃん。
「ごめんね。何でもないの」
「莉菜さんって、嘘つくのヘタですよね。私も、人の事言えないですけど」
「……」
昔から、嘘をついても顔や態度に出てしまうのかすぐにバレてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!