前の彼女の存在

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そして電話が切れた数分後、類がお店に入ってきた。 「良かった。まだ店にいて」 昨日、会ったばかりなのに。 昨日、ほとんど1日中一緒にいたはずなのに。 類の顔を見ただけで、無意識に私の胸はドキッとしてしまう。 「類、どうしたの?何かあった?」 「豪から聞いたんだけど。昨日未来、来たんでしょ」 「うん。来てたけど……」 「何か、されなかった?それか、何か言われなかった?」 もちろん、何もされてはいない。 ただ、本当に少し話しただけ。 「類と今日いたんですかって聞かれた。……私から、類と同じ香りがするって」 咄嗟に、会っていないって言ってしまったけど、うまく誤魔化せたかは自信がない。 私は今まで好きな人の香りなんて意識した事がなかったけど、類の事を凄く好きなあの子はあの瞬間、私に間違いなく疑いを持ったはずだ。 「香り?あぁ、そっか。莉菜、俺に凄いくっついてたもんね」 「ちょ、あれは類が……!」
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