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エレベーターの中で、緩んだ顔を引き締める。
私、また顔赤くなってないかな。
大丈夫かな。
自分の家の扉の前に立ち、ゆっくりと深呼吸して鍵を開けた。
「ただいま……」
玄関に入ると、豪の靴とヒールの高いパンプスが置いてあるのが見えた。
また愛ちゃん、来てるのかな?
ていうか豪も、私の家に住むぐらいなら愛ちゃんと同棲すればいいのに。
そんな事を思いながら、リビングの扉を開けた。
すると目に飛び込んできたのは。
涙を目にいっぱい溜めながら、ソファーに座る女の子の姿だった。
愛ちゃんじゃ、ない。
ていうか、この子、もしかして……
「姉ちゃんお帰り。メールしたんだけど、見た?」
「え……」
そういえば、今日全然携帯見ていなかった。
慌てて携帯をバッグから出すと、何件かメールがきていた。
その中に、豪からのメールがあった。
『今日未来ちゃんがこれから家に来るから。姉ちゃんの家なのに、勝手にごめん』
……やっぱり、類の、別れた彼女だ。
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