前の彼女の存在

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「初めまして松島未来です。突然お邪魔しちゃってすみません。どうしても豪くんに話を聞いてほしくて……」 泣きはらした目で、私を見つめる彼女。 前に写真で見たときと同じ、可憐な印象。 だけどその表情は、確実に憔悴していて、毎日、類の事で悩んでいるのが見ただけですぐにわかった。 「あ……初めまして豪の姉の莉菜です。家は全然大丈夫ですけど……あ、何か飲みますか?豪、あんたコーヒーくらい出しなさいよ」 「あぁ、忘れてた。未来ちゃん、何飲む?」 「あの、本当にお構いなく。最近、何も喉を通らなくて……」 さっき類といたときとは、また別の意味で、心臓がバクバクしてくる。 失恋をしてこんなにも傷ついている彼女を見て、罪悪感がないわけがない。 「未来ちゃん、少しくらい何か食べた方がいいって。これ以上痩せたらどうすんだよ」 「でも類の事を考えてると、食欲がわかなくて……」 胸の奥がズキズキと痛くなる。 さっきまでの楽しかった時間が、幻だったかのように感じてしまうほどに。
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