前の彼女の存在

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「類くんってさ、凄い好きだよね椿の事」 他人の口から聞かされると、また違った意味でドキッとする。 「……美月に何か言ってたの?」 「言ってたよ~ていうか、何でそんな小声なの?聞こえづらいんだけど」 「あ……ごめん、今ちょっと家に人が来てて」 部屋の扉も閉まっているし、リビングまで距離もあるから、あの子に私の声は聞こえないと思う。 それでも、臆病者で小心者の私は、こういうとき敏感になり過ぎてしまう。 「こんな時間に?誰?豪ちゃんの友達?」 「類の元カノ……」 「えっ?類くんの元カノが何で椿の家に来てるの?」 「豪にいろいろ相談しに来たみたい」 「相談って……その子は類くんの事、別れてからもまだ好きって事?」 「そうみたい」 私は大まかに、さっき豪にあの子が言っていた言葉を美月に伝えた。 
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