第7話 16年間の優しい嘘

16年間の優しい嘘

13歳で出会って、今年で私達は29歳。

16年。

賢と築いてきた、友情は。
16年という長い年月をかけて作られてきたもの。

自分にとって賢は、一緒にいると楽しくて、心地よくて。
何の遠慮もせずに、言いたい事が言える。

そして私は彼の優しさにずっとずっと、救われてきた。

16年もの間いつも傍にいた賢は、私にとって、いなくなるなんて考えられない存在。

……だけど、それは恋じゃない。

友達としては最高に好きだけど。
賢にキュンとした事や、ドキッとした事は一度もないって、言いきれてしまう。

少しも躊躇わずに、言えてしまう。

昨日の事を思い出すと、胸が苦しくなる。

私が友情だと信じていたものは、何だったんだろう。
私は、賢の何を見てきたんだろう。

16年は……言葉では表せないくらい、長すぎる。