16年間の優しい嘘

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高校を卒業してからは、私はネイルサロンでバイトをしながらネイルの学校に通った。 賢と美月は大学に進学した。 別々の道に進んだけれど、それでも連絡が途絶える事はなかった。 バイトでミスをして、先輩に叱られて落ち込んでいたときに、私に救いの言葉をくれたのは、いつも賢だった。 「……私、才能ないのかな」 「才能なんて、誰だってないんだよ。努力の問題だろ。あと、どれだけ本気かって事」 「いいなぁ賢は……毎日大学楽しそうで」 「じゃあお前も、学校辞めて大学行けば?」 「……行かないし、辞めないもん」  「ちょっと賢ちゃん余計な事言わないでよ!椿には立派なネイリストになってもらって、私の爪綺麗にしてもらうんだから」 私が弱音を吐いたときは、優しく、厳しく言いたい事をズバズバ言ってくれた。 だけどそのおかげで、今の私があると思う。 本当に、そう思ってる。 私がネイリストの試験を受けに行くときは、賢は男なのに爪が綺麗だからモデルになってくれた。 女性だらけの会場で、かなり目立っていたけど。 「すげー恥ずかしいんだけど。マジこれで合格しなかったら俺、怒るよ」 なんて言いながらも、毎回協力してくれた、最高の親友。
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