16年間の優しい嘘

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仕事に向かう前に、一応類にメールを送った。 『明後日、賢と会ってちゃんと話してくる。』 こんな報告なんてしなくてもいいのかもしれないけど、一応伝えておきたかった。 そして仕事の最中、お昼過ぎ。 手が空いた時間に携帯を見ると、類からメールが届いていた。 『わかった。俺も、今日未来に会ってちゃんと話してくるよ。』 その数分後にも、1件類からメールがきていた。 『熱、下がった?仕事、無理しないようにね。心配だから。』 「優しいな……」 類が遊園地に連れて行ってくれたあの日から、彼の事を考える時間が毎日少しずつ増えていく。 いつかは、類の事しか考えられなくなる日が来たりして、なんて。 メールを見つめながら真剣に思ってしまう自分は、相当ヤバイ気がする……。 「何ニヤニヤしちゃってるんですか~莉菜さん」 「……別に、ニヤニヤなんてしてないし」 「してましたよ!もう、頬緩みまくりでしたよ」 隣から茶化してくる亜美ちゃん。 今日は本当は出勤の日じゃないけど、ヘルプで来てくれた。 普段の平日は、実家が精肉店を営んでいて、そこで身体を壊した母親の代わりに働いている。
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