16年間の優しい嘘

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「本当に?私、そんなに緩んでた?」 「ニヤニヤっていうか、デレデレでした。何か良い事あったんですか?あ!もしかして、新しい男出来たとか?」 「……出来てないよ」 「今、凄い間がありましたよね」 亜美ちゃんはこういうとき、容赦なく突っ込んでくる。 何となく、美月に似てるんだよね性格が。 「へぇ~そっかぁ、ついに莉菜さん、瑛祐さんの事吹っ切れたんですね」 「瑛祐の事はもうだいぶ前から吹っ切れてたけど……」 「そうなんですか?でも、4年も付き合った人をこんなに早くに吹っ切れるなんて、新しい男の事よっぽど好きなんですね」 確かに、類が私に好きだなんて言ってくれていなかったら、私はいつまでも、瑛祐の事を引きずっていたのかもしれない。 4年間の思い出を忘れる事なんて出来ずに。 自分から、新しい恋に踏み出す事も出来ずに。 自分にはもう仕事しかないと言い聞かせながら、誰とも関わろうとしなかったかもしれない。
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