16年間の優しい嘘

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そして、その日の夜。 仕事を終えて帰宅して、家で久し振りに自炊をした。 風邪をこじらせないように、温かい雑炊を作った。 「わ、姉ちゃんが料理してる。珍しい」 「失礼ね。私だって雑炊ぐらい作れるし」 普段仕事の後は帰りが遅くて、自炊をする余裕がない。 だいたいコンビニでお弁当を買って帰るような生活が続いていた。 だけど今日はまだ少し体調が悪いからか、体がコンビニ弁当を受け付けなかった。 ……だから、仕方なくの自炊。 「一口ちょうだい」 そう言いながら豪は引き出しからスプーンを出して、いいなんて一言も言っていないのに、勝手に一口分をスプーンに掬って食べた。 「……何か、しょっぱくない?」 「勝手に食べて文句言うのやめてくれる?」 「俺とか類の方がまだ料理うまいわ、きっと。こんなしょっぱいの食べたら、余計体調壊すな」 ホントに、嫌な弟だ。
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