16年間の優しい嘘

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「そういえば、類のヤツ今日未来ちゃんに会ってるらしいよ」 その瞬間、心臓がドキッと飛び跳ねるのを感じた。 「……そうなんだ」 「未来ちゃんも、早く諦めればいいのにな。類よりいい男なんて沢山いるじゃん?」 「……そうだね」 鈍感な豪なら私のドキドキには絶対気付かないだろう。 だけど絶対悟られないように、敢えて冷静な態度で話を聞くようにした。 「何か類、この間、今夢中になってる女とデートしたんだって初めて。それがめちゃくちゃ楽しかったらしくてさ。俺にノロケてくるんだよ」 横浜の遊園地に行った日の事だ。 類、豪にあの日の事話してたんだ。 「何か可愛くて仕方ないらしいよ。でも、相手年上らしいけど。アイツって、年上の女に可愛がられるタイプだよな」 「……そうかもね」 「何だよ。姉ちゃんそんなに類の話聞きたくないの?」 「べ、別にそういうわけじゃないけど……」 「何か、おかしくない?態度」 今日に限って、豪は何故か勘が鋭かった。 違う、私がわかりやすいんだ。
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