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翌朝。
目を覚ますと、類の姿は跡形もなかった。
だけど私の左手には、類の温もりがまだ残っている気がした。
ゆっくりと起きあがると、まだ頭は少し痛かったけれど、昨日の熱っぽさは消えていた。
「良かったぁ……」
これなら、仕事に行けそうだ。
早速シャワーに入るためにリビングへ行くと、豪が朝食のパンを食べながら朝の情報番組を見ていた。
「おはよ姉ちゃん。昨日風呂で寝たくせに、またシャワー入んの?」
「だって夜中汗かいちゃったんだもん」
「ふーん。あ、そういえばさ、昨日の夜中、誰か家に来てなかった?」
……まさか、豪、起きてたの?
「わかんない……私体調悪くて寝てたから……」
「そっか。いや、俺も寝てたんだけどさ。なんか玄関でガタガタ音鳴ってた気がしたんだよね。気のせいだったのかな」
「……気のせいなんじゃない?」
「だよな~あんな夜中に誰か来るわけないよな」
豪がもうちょっと鋭い人だったら、きっと玄関の物音を気のせい、だなんて納得しない。
自分の弟ながら、鈍くて単純で良かったなぁと心底思った。
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