16年間の優しい嘘

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ぱっと起き上がってメールを見ると、想像通り類からだった。 『今、終わった。時間はかかったけど、ちゃんと話し合ってわかってくれたよ。詳しい事は、次会ったときに話すから』 わかってくれたんだ……。 メールを読んで、一瞬ほっとしたけれど、その直後に何とも言えない不安が襲ってくる。 本当に、わかってくれたのかな。 携帯で時刻を確認すると深夜2時を過ぎていた。 こんな遅くに電話したら、迷惑かな。 だけどどうしても気になって、メールの返信を打つのをやめて電話をかけた。 「莉菜?」 昔から変わらない、類の少し低くて柔らかい声が耳に心地よく響く。 「ごめんね、電話して……」 「起きてたの?こんな時間まで」 「今、メール見てどうしてもいろいろ気になっちゃって……」 そう言うと、微かにふっと類の笑い声が聞こえてきた。 「どうして笑ってるの?」 「いや、意外と莉菜も必死なんだなと思って」 そう言われた瞬間、急に自分の必死さが伝わっている事に気付いて恥ずかしくなる。
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